
犬・猫の心臓病を、早期発見から継続治療まで
当院では、犬・猫の心臓病をより詳しく診療するため、循環器診療に精通した獣医師による「循環器専門外来」を行っています。
心臓病は、初期には目立った症状がなく、健康診断や普段の診察で「心雑音があります」と指摘されたことをきっかけに見つかることもあります。また、咳や疲れやすさなどの症状が現れたときには、すでに病気が進行している場合もあります。
循環器専門外来では、問診や身体検査に加えて、心エコー検査・レントゲン検査・心電図検査などを行い、心臓病の有無や現在の状態を詳しく確認し、その子に合った治療方針をご提案します。
「心雑音を指摘された」
「最近、咳をするようになった」
「散歩ですぐに疲れるようになった」
「すでに心臓病を治療しているが、詳しく診てもらいたい」
このような場合は、一度ご相談ください。
このような症状・指摘があればご相談ください
心臓病は、必ずしも分かりやすい症状が現れるとは限りません。
次のような変化がみられる場合や、診察・健康診断で心臓について指摘された場合には、循環器疾患が関係している可能性があります。

- 健康診断や診察で心雑音を指摘された
- 散歩できる距離が短くなった、散歩中に立ち止まる
- 運動を嫌がる、歩き方がおかしい
- すぐに呼吸が荒くなる
- 咳をするようになった
- 疲れやすくなった
- 毛並みが悪くなった
- ふらつく、失神する
- お腹が張っている
- 舌の色が紫色になる
- ぐったりして食欲がない
「年齢のせいかな?」と思うような変化が、心臓病のサインであることもあります。
気になる変化がある場合には、早めにご相談ください。
犬・猫に多い心臓病
犬に多い「僧帽弁閉鎖不全症」
犬でよくみられる心臓病のひとつが、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)です。犬の心疾患のうち80%程度が僧帽弁閉鎖不全症といわれているほど多い病気です。老齢の小型犬に多く発生するほか、遺伝的な要因もありますが、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、マルチーズなどがかかりやすい犬種として挙げられます。
心臓には4つの部屋があり、血液が一方向に流れるように「弁」が存在しています。僧帽弁閉鎖不全症では、この弁がしっかりと閉じなくなり、血液の逆流が起こります。
病気が進行すると心臓に負担がかかり、咳や呼吸の異常などが現れることがあります。投薬によって進行を遅らせたり、心不全の症状を抑えたりすることはできますが、基本的には治る病気ではありません。そのため、早期発見と、進行度に合わせた継続的な管理が重要です。

猫に多い「肥大型心筋症」
猫でよくみられる心臓病のひとつが、肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)です。心臓の筋肉(心筋)が厚くなり、心臓が十分に広がりにくくなることで、全身へ血液を送り出す働きに影響が生じる病気です。猫の心疾患のうち約2/3(約70%)程度が肥大型心筋症といわれているほど多い病気です。遺伝的な要因もありますが、メイン・クーン、ペルシャ、ラグドール、アメリカン・ショートヘアなどがかかりやすい猫種として挙げられます。
猫は具合が悪くても症状をあまり表に出さないことがあり、症状が軽いうちは飼い主様が気づきにくい場合があります。そのため、日頃の診察や検査を通じて心臓の状態を確認することが大切です。

当院の循環器専門外来
循環器専門外来の特徴
01|心臓の状態を詳しく評価します
心臓病は、病名だけでなく、現在どの程度まで進行しているのかを把握することが大切です。問診や身体検査に加え、必要に応じて心エコー検査・レントゲン検査・心電図検査・血圧検査・血液検査などを行い、現在の心臓の状態を詳しく確認します。
02|検査結果に合わせて、その子に必要な治療をご提案します
心臓病だからといって、すべての子が同じ治療を行うわけではありません。検査結果から病気の種類や進行度を確認し、現在治療が必要なのか、どのようなお薬が必要なのかを判断します。現時点で治療が必要ない場合には、すぐにお薬を始めるのではなく、定期的に状態を確認しながら経過観察をご提案することもあります。
03|担当獣医師と連携しながら治療を続けます
循環器専門外来だけで診療を完結させるのではなく、当院の勤務医とも情報を共有しながら診療を行います。専門外来以外の日にも、その子の状態や治療内容を把握したうえで診療できるよう、院内で連携しています。
04|心臓だけでなく、全身の状態も考えて診療します
特にシニア期の犬・猫では、心臓病だけでなく、ほかの病気を併発していることもあります。循環器担当医と当院の勤務医が連携し、心臓だけを見るのではなく、その子の全身状態を考えながら治療を進めていきます。
循環器専門外来で行う主な検査
心臓病は、一つの検査だけで判断するのではなく、複数の検査結果を組み合わせながら状態を評価します。診察時には、その子の状態に合わせて必要な検査をご提案します。
| 心エコー検査 | 超音波を使って、心臓の形や動き、血液の流れなどを確認します。 |
| レントゲン検査 | 心臓の大きさや形に加えて、肺などにも影響が出ていないか確認します。 |
| 心電図検査 | 心臓の電気的な活動を記録し、不整脈などがないか確認します。 |
| 血圧検査 | 血圧を測定し、心臓や全身の状態を評価するための情報として活用します。 |
| 血液検査 | 全身状態を確認するとともに、必要に応じてNT-proBNPなど、心臓への負担を評価するための検査を行います。 |
循環器専門外来の診療の流れ
当院では、検査をすること自体を目的とするのではなく、まず飼い主様からしっかりお話を伺ったうえで、必要な検査を行い、治療方針をご提案します。不安なことや分からないことがあれば、遠慮なくお尋ねください。
STEP 1|それぞれの子に寄り添いしっかりと問診
まずはしっかり問診をします。わんちゃんは聴診、猫ちゃんは聴診およびNT-proBNP(心臓がダメージを受けると血液の中に含まれる物質)などの血液検査などで心臓病の可能性がないか検査をします。
STEP 2|本格的な検査で正確に判断
レントゲン検査、心エコー検査、心電図検査、血圧検査、血液検査を行い、治療前の心臓の評価をします。また他臓器にも影響が出ていないか、合わせて確認をします。
STEP 3|検査結果をもとに治療方針をご提案
心臓病がない場合または、心臓の進行が見られない場合には無治療で経過観察をご提案致します。心臓の進行がみられる場合には強心剤、血圧降下剤、抗血栓薬、利尿剤などの内服の開始のご提案をさせて頂きます。 既に呼吸が速いなどの心不全の状態であれば入院下での治療のご提案をさせて頂きます。
検査結果に合わせて治療方針をご提案
心臓病の進行がみられる場合
どのくらい病状が進行しているかをしっかり見ながら、強心剤、血圧降下剤、抗血栓薬、利尿剤などの内服の開始のご提案をさせて頂きます。
お薬の効果と特徴について
| 強心剤 | 心臓が伸びたり縮んだりする収縮力を高め、1回の拍出量を増やすお薬です。 |
| 血圧降下剤 | 血圧を抑えるお薬です。血圧を下げることで、心臓からの圧が少なくても血液を送り出しやすくなります。 |
| 抗血栓薬 | 血栓の生成を抑え血液をサラサラにするお薬です。血液の中の血小板の働きを抑えることにより、血管の中で血の塊(血栓)ができやすくなっている状態を改善し、血栓症の再発や血流障害を防ぎます。 |
| 利尿剤 | おしっこの量を増やし、体内の余分な水分を減らすお薬です。心臓への負担を軽減するう役割があります。 |
呼吸が速いなど、心不全が疑われる場合
呼吸が速く、心不全と判断する状態の場合は入院下での治療をご提案いたします。
現時点で治療が必要ない場合
心臓病が認められない場合や、現時点では治療が必要ないと判断した場合には、無理に治療を始めることはありません。定期的な検査によって状態を確認しながら、経過観察をご提案します。
循環器専門外来 担当医(月1回)
※毎月1回不定期開催です。実施日はお知らせの「各外来の実施日カレンダー」をご確認ください。

見上 英樹 先生
循環器診療を専門分野として、複数の動物病院で犬・猫の循環器診療に携わっています。
また、日本大学獣医学科卒業後、千葉大学大学院医学研究院にて呼吸器内科学を学び、医学博士号を取得。人の医療分野でも呼吸器疾患・肺高血圧症について研究・研鑽を重ねてきました。
当院では、普段診療を担当する獣医師と連携しながら、一頭一頭の状態に合わせた循環器診療を行っています。
見上先生より一言
犬猫の心臓病を専門に全国で診療を行なっております。 心臓病で苦しむ犬猫の症状の緩和および生活の質の向上に全力を尽くしていきたいと考え ております。
経歴
- 2016年 日本大学 獣医学科 獣医師免許取得
- 2016~2019年 東京動物心臓病センター 非常勤
- 2020年 千葉大学大学院 医学研究院 呼吸器内科学 医学博士号取得
- 2020~2021年 千葉大学 呼吸器生体制御学 特任助教
- 2021~2023年 千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学 肺高血圧症研究講座 特任助教
- 2020年~現在 どうぶつの循環器内科 代表
所属学会
- 日本獣医循環器学会
- 日本肺高血圧肺循環学会
- 株式会社EDUWARD Press as 2021年4月号「第2特集 総復習シリーズ(第1回循環器)
- 株式会社EDUWARD Press as 2021年7月号「ビジュアル動物看護技術」(心電図-聴診器編)
・2020年11月3日(火) QIX株式会社主催
「シニア診療に力を入れたい獣医師のための症例から学ぶ老齢獣医学ケースカンファレンス 第3回呼吸器」
∟肺血管拡張薬が著効した肺高血圧症の犬の症例
∟肺血管拡張薬の効果が乏しかった肺高血圧症の犬の症例
∟肺血管拡張薬により左心不全を呈した肺高血圧症の犬の症例
・2021年10月 株式会社EDUWARD press主催
「VETS ACADEMY as愛玩動物看護師 国家試験準備塾~循環器編~」
- 口頭発表:シルデナフィルを使用した肺血栓塞栓症の犬の1例 第102回日本獣医循環器学会(埼玉)2015/6/22
- 口頭発表:犬の短頭種における肺高血圧症 第104回日本獣医循環器学会(埼玉)2016/6/6/18
- 口頭発表:肺高血圧症による肺水腫急性増悪のウェルシュ・コーギーに対してα型心房性 ナトリウム利尿ペプチド製剤とシルデナフィルが奏功した1例 第105回日本獣医循環器学会(福岡)2016/12/03
- 口頭発表:Eisenmenser症候群の動脈管開存症の犬に長期投与にホスホジエステラーゼ5阻 害薬を使用した4例
- 第106回日本獣医循環器学会(埼玉)2017/06/17
循環器疾患についてのQ&A
Q. 健康診断で心雑音を指摘されました。症状がなくても検査した方がよいですか?
心臓病は、初期には咳や呼吸の変化などの分かりやすい症状がみられないことがあります。心雑音があるからといって必ずしも重い心臓病とは限りませんが、心雑音の原因や現在の心臓の状態を確認しておくことが大切です。循環器専門外来では、必要に応じて心エコー検査などを行い、治療が必要な状態なのか、経過観察でよいのかを判断します。
Q. 心臓病が見つかったら、すぐに薬を飲み始めますか?
必ずしもすぐに投薬を開始するわけではありません。検査によって心臓病の種類や進行度を確認し、現時点で治療が必要かどうかを判断します。治療が必要ない場合には、定期的な検査で状態を確認しながら経過をみていきます。
Q. 咳が出ていたら心臓病ですか?
咳にはさまざまな原因があり、必ずしも心臓病が原因とは限りません。診察や検査を行い、心臓が関係しているのか、ほかの病気の可能性があるのかを確認することが大切です。
Q. 猫にも心臓病はありますか?
猫にも心臓病はあり、代表的なものとして肥大型心筋症があります。猫は症状を表に出しにくく、飼い主様が異変に気づきにくいこともあります。そのため、診察や検査によって状態を確認することが重要です。
Q. 心臓病のお薬はずっと飲み続けるのでしょうか?
必要なお薬や投薬期間は、病気の種類や進行度によって異なります。定期的に心臓の状態を確認しながら、その時点で必要な治療内容を検討していきます。
心臓について気になることがあればご相談ください
心臓病は、症状が分かりにくいまま進行することがあります。
「心雑音を指摘された」
「最近、咳をするようになった」
「以前より疲れやすくなった」
「現在の心臓病の状態を詳しく調べたい」
このような場合には、循環器専門外来へご相談ください。
当院では、循環器担当医と普段診療を担当する獣医師が連携しながら、その子の状態に合わせた診療を行います。
循環器専門外来は予約制です。
ご予約の際は当院までお電話もしくはWEB予約からご予約ください。
当院の電話番号:03-3726-1299