循環器専門外来cardiology

循環器専門外来

犬・猫の循環器専門外来:人間も動物も、ともに健康で長生きをするために

犬猫は人間よりもはるかに速いスピードで年齢を重ねます。今や死因のTOP3に循環器疾患が入り込むほどよくみられる病気になっています。特に7歳以上の高齢の犬猫は注意が必要ですが、高齢猫の場合は聴診やレントゲン検査では判断しにくいことも多く、病気が発見されたときにはすでに進行が進んでいるというケースが非常に多いです。また、心臓病は先天性と後天性があるため、ワンちゃん・猫ちゃんの年齢に関わらず発症しますので、当院では定期的な心臓の検査をお勧めしています。

愛する家族と少しでも長く一緒にいるために、健康を維持してもらうために、当院に何ができるか真剣に思考した結果、循環器のスペシャリストである見上英樹先生をお招きすることとなりました。全国の動物病院で数多く循環器診療をしながら、人間の医療で研究・勉強もされている循環器系医療のスペシャリストです。

実施日はこちら▶▷2/8(土)となっております。

■見上先生の循環器専門外来の特徴

  • 現状の心臓の進行具合を飼い主様と相談しながら治療を進めることができる
  • わんちゃん、ねこちゃんの心臓の病名を的確に判断することができる
  • それぞれの子に必要な量の内服をご提案することができる
  • つばさ動物病院の勤務医としっかり相談しながらそれぞれの子の病気の状態を把握したうえで治療を進めることができる
  • 勤務医とのコミュニケーションがしっかり図れるので心臓疾患に限らず他の病気も把握できる

■愛犬・愛猫ちゃんにこんな症状はありませんか?

下記症状に心当たりがある場合は、愛犬・愛猫ちゃんが循環器系(心臓病)の疾患にかかっている可能性がございます。

  • 散歩が短くなった、散歩中に立ち止まる
  • 運動を嫌がる、歩き方がおかしい
  • すぐ呼吸が荒くなる
  • 咳をするようになった
  • 毛並みが悪くなった
  • 疲れやすくなった
  • ふらつく、失神する
  • お腹が張っている
  • 舌の色が紫色になった
  • ぐったりして食欲がない

■循環器系の病気についてのQ&A

Q1. ワンちゃんがかかりやすい循環器系の病気はなんですか?
A1. よくある病気として僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)が挙げられます。
わんちゃんで最も多い進行性の心臓病であり、特に高齢の小型犬で多く見られます。
診察時に「心雑音(しんざつおん)があります」と言われるケースのほとんどが僧帽弁閉鎖不全症です。収縮して血液を送り出すとき、弁が完全に閉鎖せず、血液が逆流してしまう病気です。心臓は4つの部屋に分かれており、収縮時に心臓内の血流を一方通行にして逆流を防ぐ「弁」が存在しています。通常、その「弁」をしっかりと閉じることで血流の一方通行が保たれていますが、「弁」に変性が起こる事で心臓内に逆流が生じ、その逆流が心雑音として聞こえます。初期は無症状ですが進行すると肺水腫などの命に関わる状態(心不全)を発症することがあります。投薬開始後、進行を遅らせ心不全の発症を抑えることはできますが、「元気になったから薬をやめる」という事ができません。基本的に治る事のない病気ですので、予防と早期発見が重要となります。
Q2. ネコちゃんがかかりやすい循環器系の病気はなんですか?
A2. よくある病気として肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)が挙げられます。
肥大型心筋症とは猫の心臓病で最も多く、症状や心雑音が全くない場合でも10匹に1匹の猫が発症している病気で、7歳以上の3割ほどがかかっているとも言われています。猫は具合が悪くても症状をあまり表に出さない動物なので、症状が軽度であると気づきにくい傾向があります。心臓は全てが筋肉(=心筋)でできており「ちぢむ(収縮)」と「ゆるむ(弛緩)」を繰り返す事で血液を全身に送ります。心筋のタンパク質に異常が発生することで心臓の働きに障害が起こり、体へ十分な血液量を送り出すことができなくなります。
Q3. 僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬種はありますか?
A3. 犬の心疾患のうち80%程度が僧帽弁閉鎖不全症といわれているほど多い病気です。

老齢の小型犬に多く発生するほか、遺伝的な要因もありますが、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、マルチーズなどがかかりやすい犬種として挙げられます。
Q4. 肥大型心筋症にかかりやすい猫種はありますか?
A4. 猫の心疾患のうち約2/3(約70%)程度が肥大型心筋症といわれているほど多い病気です。
遺伝的な要因もありますが、メイン・クーン、ペルシャ、ラグドール、アメリカン・ショートヘアなどがかかりやすい猫種として挙げられます。

■循環器専門外来の診察の流れ

当院では治療前にしっかりと問診、身体検査、各種検査を行い、飼い主様の不安と疑問が解消できてからの治療となります。

少しでも不安や疑問がある場合は何でも聞いて下さい。解決できるまで何度でも説明します!

それぞれの子に寄り添いしっかりと問診

まずはしっかり問診をします。わんちゃんは聴診、猫ちゃんは聴診およびNT-proBNP(心臓がダメージを受けると血液の中に含まれる物質)などの血液検査などで心臓病の可能性がないか検査をします。

本格的な検査で正確に判断

レントゲン検査、心エコー検査、心電図検査、血圧検査、血液検査を行い、治療前の心臓の評価をします。また他臓器にも影響が出ていないか、合わせて確認をします。

検査結果をもとに治療方針をご提案

心臓病がない場合または、心臓の進行が見られない場合には無治療で経過観察をご提案致します。心臓の進行がみられる場合には強心剤、血圧降下剤、抗血栓薬、利尿剤などの内服の開始のご提案をさせて頂きます。 既に呼吸が速いなどの心不全の状態であれば入院下での治療のご提案をさせて頂きます。

■循環器疾患の治療方法について

主に内科診療にて治療を進めていきます。

 

【パターン1.心臓病の進行が見られる場合】

どのくらい病状が進行しているかをしっかり見ながら、強心剤、血圧降下剤、抗血栓薬、利尿剤などの内服の開始のご提案をさせて頂きます。

※お薬の効果と特徴について

強心剤:心臓が伸びたり縮んだりする収縮力を高め、1回の拍出量を増やすお薬です。

血圧降下剤:血圧を抑えるお薬です。血圧を下げることで、心臓からの圧が少なくても血液を送り出しやすくなります。

抗血栓薬:血栓の生成を抑え血液をサラサラにするお薬です。血液の中の血小板の働きを抑えることにより、血管の中で血の塊(血栓)ができやすくなっている状態を改善し、血栓症の再発や血流障害を防ぎます。

利尿剤:おしっこの量を増やし、体内の余分な水分を減らすお薬です。心臓への負担を軽減するう役割があります。

 

【パターン2.既に呼吸が速いなどの心不全状態の場合】

呼吸が速く、心不全と判断する状態の場合は入院下での治療をご提案いたします。

 

【パターン3.心臓病がない、または進行が見受けられない場合】

無治療で経過観察をご提案いたします。

 

■循環器専門外来のスペシャリストをご紹介

循環器専門外来担当医:見上 英樹 先生

出身校日本大学 獣医学科

 

【一言】

犬猫の心臓病を専門に全国で診療を行なっております。 心臓病で苦しむ犬猫の症状の緩和および生活の質の向上に全力を尽くしていきたいと考え ております。

【経歴】

2016年 日本大学 獣医学科 獣医師免許取得

2020年 千葉大学大学院 医学研究院 呼吸器内科学 医学博士号取得

2016年~2019年 東京動物心臓病センター 非常勤

2020年~2021年 千葉大学 呼吸器生体制御学 特任助教

2021年~2023年 千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学

肺高血圧症研究講座 特任助教

2020年~ 現在   どうぶつの循環器内科 代表

【所属学会】

日本獣医循環器学会

日本肺高血圧肺循環学会

【執筆】

株式会社EDUWARD Press as 2021年4月号「第2特集 総復習シリーズ(第1回循環器)

株式会社EDUWARD Press as 2021年7月号「ビジュアル動物看護技術」(心電図-聴診器編)

【講演】

・2020年11月3日(火) QIX株式会社主催

「シニア診療に力を入れたい獣医師のための症例から学ぶ老齢獣医学ケースカンファレンス 第3回呼吸器」

∟肺血管拡張薬が著効した肺高血圧症の犬の症例

∟肺血管拡張薬の効果が乏しかった肺高血圧症の犬の症例

∟肺血管拡張薬により左心不全を呈した肺高血圧症の犬の症例

・2021年10月 株式会社EDUWARD press主催

「VETS ACADEMY as愛玩動物看護師 国家試験準備塾~循環器編~」

【学会発表】

・口頭発表:シルデナフィルを使用した肺血栓塞栓症の犬の1例 第102回日本獣医循環器学会(埼玉)2015/6/22

・口頭発表:犬の短頭種における肺高血圧症 第104回日本獣医循環器学会(埼玉)2016/6/6/18

・口頭発表:肺高血圧症による肺水腫急性増悪のウェルシュ・コーギーに対してα型心房性 ナトリウム利尿ペプチド製剤とシルデナフィルが奏功した1例 第105回日本獣医循環器学会(福岡)2016/12/03

・口頭発表:Eisenmenser症候群の動脈管開存症の犬に長期投与にホスホジエステラーゼ5阻 害薬を使用した4例

・第106回日本獣医循環器学会(埼玉)2017/06/17

■ご予約方法

ご予約の際は当院までお電話ください。

当院の電話番号:03-3726-1299