犬の口腔内メラノーマとは?
犬の口腔内悪性メラノーマは、犬の口の中で発生するがん(悪性腫瘍)の一種です。
口腔内悪性メラノーマはメラノサイトというメラニンをつくる細胞が由来のがんです。
メラニンは色素を作る細胞であるため、赤い色や濃い褐色のがん(腫瘍)が多いですが、
色素を持たない無色素な細胞も確認されています。
症状について【当てはまったら動物病院へ】
口腔内メラノーマの主な症状をご紹介いたします。
【症状その1】 口の中にできた腫れやしこり | 初期症状として、口の中に腫れやしこりができることがあります。 これはがん(腫瘍)が成長して周囲の組織や細胞に影響を与えることで引き起こります。 |
【症状その2】 歯茎の色の変化 | 口の中の粘膜や歯ぐきに色の変化が見られることがあります。 メラニンによって色素が作られるため、 がんに「赤色や黒色・濃い褐色」の変化が見られることがあります。 |
【症状その3】 歯茎や口蓋(口内の上あご部分)の出血 | がんが血管を攻撃・圧迫することで、口からの出血が見られることがあります。 歯茎や口蓋(口内の上あご部分)からの異常な出血が見られる場合は、 すぐに動物病院を受診することをおすすめいたします。 |
【症状その4】 口内の痛みや不快感 | 犬が口の外側を痛がる、不快感を示すような行動が見られるようになります。 食欲が減退したりする場合もあり、口内に異常を感じている可能性があります。 |
【症状その5】 食欲不振 | 口内に痛みを感じて、食べることに抵抗を示すことがあります。 これは口腔内の異常による可能性があるため口の中を調べる必要があります。 |
【症状その6】 歯の異常 | がんの影響で歯ぐきや口蓋(口内の上あご部分)に関する問題が起き、 進行具合やがんの大きさによって歯がゆがんだり、抜けたりすることがあります。 |
【症状その7】 強い口臭とよだれ | 口の中にがんが発生することで歯茎や歯肉から出血が見られたり痛みが出てきます。 そのせいで口内に負荷がかかり、よだれが出始めたり口臭が強くなる症状が見られます。 |
皆様の愛犬に少しでもこれらの症状が見られたときはすぐに動物病院を受診することをおすすめいたします。
特徴は?【悪性度が高くて厄介!?】
口腔内悪性メラノーマは口の中の至る所に発生します。
口の中でも「奥歯の歯肉の中央、扁桃(のどのリンパ組織)」に発生したがんは
とても見つけにくいため、症状に気づいてから病院を受診される方も少なくありません。
このがんは悪性度が非常に高いため、症状に気づいてから受診した時には
すでにほとんどの場合が悪性の末期がんであることが多いのも事実です。
そのため口腔内悪性メラノーマはとても厄介ながんだと言われています。
また、このがんが厄介だと言われるもう一つの理由は転移しやすいというところです。
リンパ管や血管の中にがん細胞が入り全身に散らばってしまうこともよくあります。
【口腔内メラノーマの症例】
※片側の下顎を切除しても食事は可能です。
⇐左画像の黄色で囲われた枠が
実際の口腔内悪性メラノーマです。
黒色のしこりがはっきり見えています。
(出典:Medical Ark Inc.)
右画像が⇒
がん切除の際に摘出された下あごです。
目に見えるしこりのみを摘出すると
再発(切除部位に再びがんが発生する)
のリスクが出てきてしまいますので
CT検査等を通じて厳密に検査したうえで
広範囲に切除するのが原則となっています。
犬の口腔内悪性メラノーマのまとめ
口腔内悪性メラノーマについて症状と特徴を簡単にまとめておくと、
- 悪性度が高く転移しやすい
- よだれ、出血、口を痛がる動作がみられる
- 痛みによる食欲不振
- 口にしこりや腫れがみられる
- 口臭がきつくなった
- しこりが赤色や黒色・濃い褐色の色素を持っている などがあげられます。
悪性度の高いがんは進行スピードがとても速いため
早期発見・早期治療がとても重要になってきます。
今回取り入れた「わずかな血液でわかるがん検査」をすることで
愛犬の体への負担を減らすとともに、早期発見・早期治療へと繋がります。
日頃からしっかりスキンシップをしていても、
気づかぬうちに進行していた・・・なんてケースも少なくありません。
「もっと良く見ておけばよかった」「早く病院を受診していれば・・・」
そんな思いが少しでも減るように、
痛みや異変を言葉に出来ない子たちの変化に気づいてあげられるように、
「わずかな血液でわかるがん検査」を受けてみませんか?